テンプレートの取得とS3への格納
はじめに、ジャスミンソフトが提供するCloudFormationのテンプレートをダウンロードしてください。
ダウンロードファイルを展開します。このフォルダに含まれる CloudFormation テンプレート一式を AWS の S3バケットに格納します。
本ガイドでは、S3バケット名を "wagby-cf-pipeline-wmsa" としています。次のコマンドでバケットを作成します。
aws s3 mb s3://wagby-cf-pipeline-wmsa
作成したバケットに、s3uploadfilesフォルダ内のファイルをアップロードします。
cd s3uploadfiles
aws s3 sync . s3://wagby-cf-pipeline-wmsa
設定できるパラメータ
ダウンロードしたファイルにいくつかのパラメータを自社用に書き換えることで AWS 環境を構築することができます。
ここでは設定可能なパラメータを説明します。
アプリケーションに関するパラメータ
名前 | 説明 | 例 |
環境名 (EnvironmentName) | 環境区分 + "env" の形式で指定します。環境区分とは、テストか本番運用かを示す接頭語です。本ガイドではテスト環境を "test" とし、本番環境を "prod" と表現します。 | testenv prodenv |
アプリケーション名 (ApplicationName) | 本ガイドでは WMSA名 + WagbyドメインID + 環境区分 の形式を用いています。アプリケーション名はアルファベット小文字と数字のみ使用できます。 | wmsaapp1test |
ホスト名 (HostName) | 公開するサーバのホスト名です。本ガイドでは上記「アプリケーション名」と同じとします。 | wmsaapp1test |
ネットワークに関するパラメータ
名前 | 説明 | 例 |
S3BucketName | CloudFormationテンプレートを格納したS3バケット名。 | wagby-cf-pipeline |
HostedZone | 本ガイドではサブドメイン名と同じとします。 | wmsa.wagby.com |
WMSAName | 複数の環境を含む、ひとまとまりの名前として扱います。本ガイドではサブドメイン名から決定されるものとします。(*1) | (サブドメインがwmsa.wagby.comの場合) wmsa |
CertificateArn | サーバ証明書のURIです。 | |
各サービスに関するパラメータ
名前 | 説明 | 例 |
EnvironmentType | 環境ごとに作成されるデータベース,Redis,MQを使うかどうかを決定します。
- simple
- データベース,Redis,MQのいずれも利用しません。テスト用です。
- rdb
- データベースを利用します。Redis,MQはいずれも利用しません。オートスケールやWagbyマイクロサービスに未対応です。
- cluster
- データベース,Redis,MQをすべて利用します。オートスケールやWagbyマイクロサービスに対応します。
今回は一つのアプリケーションとなるため "rdb" とします。
| rdb |
DockerLoginUser | Docker Hubにログオンする時のユーザ名。(*2) | scott |
DockerLoginPasswordSSMParamname | Docker Hubのパスワードを格納したAWS SystemManager Parameter Storeのキー名。[次節で説明] | - |
NotifyEmailAddress | CodePipeline処理の進捗状況を送信する先のメールアドレス。1アドレスのみ。指定しない場合は進捗状況メールは送信されない。(*3) | scott@exmaple.com |
その他のパラメータ
create-wmsa.cf.json に指定できる、その他のパラメータの詳細をこちらに説明しています。
パスワードの登録
Docker
DockerLoginUser に対応する、DockerLoginPasswordSSMParamname のパスワードを登録します。次のコマンドを用います。
aws ssm put-parameter --name "/DockerPassword" --type SecureString --value [DockerHubのパスワード]
以降の設定では "/DockerPassword" と記載することで、このパスワードを参照することができます。
データベース (DBPassword)
EnvironmentType を "rdb" または "cluster" としたとき、データベースのパスワードを設定します。
以下の例ではパスワード部分を "randomPassword" と表記しています。この部分に適切なパスワードを設定してください。(パスワードは12文字以上が必要です。)
name 指定は次の書式となります。"/" + WMSAName + "/" + EnvironmentName + "/DBPassword"
aws ssm put-parameter --name "/wmsa/testenv/DBPassword" --type SecureString --value randomPassword
コマンドの出力例を示します。
{
"Version": 1,
"Tier": "Standard"
}
アプリケーション用リソースの作成
上記パラメータの値を使って、本番運用するアプリケーションに対応した AWS 上のリソースを作成します。ここでは、ジャスミンソフトが提供する CloudFormation スタックに適切なパラメータを設定する方法を説明します。
今回の例
ここで紹介するのは、アプリケーションをテストするためのテスト環境を構築する例です。(CloudFormation スタックのテンプレートは https://wagby-cf-pipeline-wmsa.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/create-wmsa.json を利用します。)
このコマンド実行により https://app1test.wmsa.wagby.com/
が作成されます。
パラメータ | 値 | 備考 |
--stack-name | WmsaApp1Test | ApplicationNameのキャメルケース記法 |
EnvironmentName | testenv | |
ApplicationName | wmsaapp1test | |
Hostname | app1test | |
S3BucketName | wagby-cf-pipeline-wmsa | |
WMSAName | wmsa | |
CertificateArn | arn:aws:acm:...(省略) | |
HostedZone | wmsa.wagby.com | |
EnvironmentType | rdb | RDBを利用する |
DockerLoginUser | (DockerHubアカウント) | |
DockerLoginPasswordSSMParamname | /DockerPassword | 実際の値は事前に登録済み |
NotifyEmailAddress | (管理者メールアドレス) | 省略可 |
次の AWS CLI 命令は 1 行になります。ParameterKey
に対応するParameterValue
の部分を自社用に修正してご利用ください。
Linuxの場合
複数行にて1コマンドを指定するために、Linuxのbash流に文末に \ を指定しています。
aws cloudformation create-stack --stack-name WmsaApp1Test --capabilities CAPABILITY_IAM --capabilities CAPABILITY_NAMED_IAM \
--template-url https://wagby-cf-pipeline-wmsa.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/create-wmsa.json \
--parameters ParameterKey=EnvironmentName,ParameterValue=testenv \
ParameterKey=ApplicationName,ParameterValue=wmsaapp1test \
ParameterKey=Hostname,ParameterValue=app1test \
ParameterKey=S3BucketName,ParameterValue=wagby-cf-pipeline-wmsa \
ParameterKey=WMSAName,ParameterValue=wmsa \
ParameterKey=CertificateArn,ParameterValue=arn:aws:acm:ap-northeast-1:234318443261:certificate/392ea7a4-bb60-4bf1-a3aa-b81cccc26eb8 \
ParameterKey=HostedZone,ParameterValue=wmsa.wagby.com \
ParameterKey=EnvironmentType,ParameterValue=rdb \
ParameterKey=DockerLoginUser,ParameterValue=YOURACCOUNT \
ParameterKey=DockerLoginPasswordSSMParamname,ParameterValue=/DockerPassword \
ParameterKey=NotifyEmailAddress,ParameterValue=foo@example.com
Windows OSの場合
複数行にて1コマンドを指定するために、コマンドプロンプトの行末に ^ を指定します。(*3)
aws cloudformation create-stack --stack-name WmsaApp1Test --capabilities CAPABILITY_IAM --capabilities CAPABILITY_NAMED_IAM ^
--template-url https://wagby-cf-pipeline-wmsa.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/create-wmsa.json ^
--parameters ParameterKey=EnvironmentName,ParameterValue=testenv ^
ParameterKey=ApplicationName,ParameterValue=wmsaapp1test ^
ParameterKey=Hostname,ParameterValue=app1test ^
ParameterKey=S3BucketName,ParameterValue=wagby-cf-pipeline-wmsa ^
ParameterKey=WMSAName,ParameterValue=wmsa ^
ParameterKey=CertificateArn,ParameterValue=arn:aws:acm:ap-northeast-1:234318443261:certificate/392ea7a4-bb60-4bf1-a3aa-b81cccc26eb8 ^
ParameterKey=HostedZone,ParameterValue=wmsa.wagby.com ^
ParameterKey=EnvironmentType,ParameterValue=cluster ^
ParameterKey=DockerLoginUser,ParameterValue=YOURACCOUNT ^
ParameterKey=DockerLoginPasswordSSMParamname,ParameterValue=/DockerPassword ^
ParameterKey=NotifyEmailAddress,ParameterValue=foo@example.com
ワンポイント
コマンドの実行は少し時間がかかります。AWSマネージメントコンソール (https://console.aws.amazon.com) の "CloudFormation" で状況を確認することができます。ステータスが "CREATE_COMPLETE" となっていれば実行完了です。(*4)
注意
このタイミングでデータベース (Aurora) サービスが起動します。待機状態となるため、これらのサービスの課金が開始されます。(*5)
メール通知の確認
ParameterKeyに NotifyEmailAddress を指定したとき、最初に AWS から購読の確認メールが送信されます。
メール文中にある "Confirm subscription" をクリックし、購読を開始してください。次ページで説明する転送処理で、進捗がメールで送信されるようになります。
Dockerコンテナの起動
ここまでの手順で Docker コンテナを起動する環境が構築されました。しかしこの状態ではまだ、起動するDockerコンテナの数は 0 となっています。この値を 1 に変更し、1つのDocker コンテナを起動してみます。
AWSマネージメントコンソールで編集する
コマンドライン操作でCloudFormationスタックを作成したあとは、AWSマネージメントコンソールから編集することができます。図2は AWS の CloudFormation サービスを選択したときの画面です。
ここでは "WmsaApp1Test" スタックを選択した画面を示します。スタックの情報が表示されています。
"更新する" ボタンを押下し、更新モードへ移ります。"現在のテンプレートを利用" するとします。
パラメータを入力できます。コマンドライン操作と同じ箇所を修正することができます。
このパラメータ内にある ECSServiceDesireCount
の値を 0 から 1 に変更します。
編集後、画面下の「次へ」ボタンを押下します。
編集内容を確認する画面です。入力値に誤りがないかどうかを確認することができます。
問題がなければ、最後に「スタックの更新」ボタンを押下します。
注意
ECSServiceDesireCountの値は、コマンドライン操作でCloudFormationスタックを作成したあとに行うようにしてください。
動作の確認
Web ブラウザから https://app1test.wmsa.wagby.com/ にアクセスします。"Success" と表示されることを確認します。
構築されるフルマネージドサービスの詳細
ジャスミンソフトが提供する CloudFormation テンプレートでは、関連する AWS のフルマネージドサービスの初期仕様を次のように定めています。
パラメータ | 値 | 説明 |
DBInstanceType | db.t3.small | Auroraのタイプ |
MQInstanceType | db.t3.micro | MQのタイプ |
RedisInstanceType | cache.t3.micro | Redisのタイプ |
上述した「AWSマネージメントコンソールで編集する」を使い、初期パラメータを変更することもできますが、この場合は一度作成したフルマネージドサービス環境を削除して再作成する必要があります。
そこで実際の運用は CloudFormation テンプレートはそのままとし、AWSマネージメントコンソールを使って各サービスのページをアクセスし、そこでスペックを変更するとよいでしょう。(各サービスのスペックの変更方法についての説明は割愛します。AWS が提供するマニュアルをお読みください。)
次のステップ
ここまでで AWS 上に Tomcat を用意することができました。また RDB の接続準備まで完了しました。次ページで Designer でフルビルドしたアプリケーションをこの環境に転送する方法を説明します。